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ハッピーエンドって何だろう。-溺れるナイフを見たよ

日記

山戸監督の映画を初めて見たのは、東京女子流主演の「五つ数えれば君の夢」で、きらめきや透明感、危うさやもどかしさ脆さ、そういう女の子の全てのかけらが切り取られて映像化されたみたいな映画で、凄い映画を作るひとだなぁと思った。幻想的でつくりものみたいだけど、その中にいる女の子たちはひとりひとりちゃんと現実にいる女の子のようで、その境目の曖昧に思わせてくれるところがとても好きだなと思った。

溺れるナイフはだから、すだくん(スキ!)と山戸監督と言うだけで、ずっとずっと楽しみにしていた映画でした。

以下はネタバレに配慮しない感想と、映画を観終わってからとりとめもなくぐだぐだと考えていることをざっくり私の気持ちのメモとして書きます。

と思ったんですけど、パンフ読んだら最高という気持ちが破裂したので、多分尻切れトンボです。ばばみのある表現ですみません。

 とにかく私は暴力によって無抵抗な人間が傷つけられる話がもうめちゃくちゃ苦手で、中盤からずっと泣いてた。

エンドロールが始まった瞬間更に泣いて、多分エンドロールの半分くらいはもうずっと泣いてたし、疲れ果てた気持ちだった。

終わってから映画を見ていない友人に会って「溺れるナイフめっちゃ良かった。最高だった。でも気軽に見てって言えない」と率直な感想を伝えたら、「ハッピーエンドじゃないんでしょ?」って言われた。

そこからずっとハッピーエンドって何だろうって考えている。

あの瞬間、夏芽もコウちゃんも、ああするしかなかったんだって今も思っている。

止めるカナちゃんと、それを振り切ったコウちゃんと、叫ぶ夏芽を見ながら本当に心底悲しいと思いながら「そうするしかないよね。」って思った。だから私はずっと泣いてた。だって「そうするしかないとしか思えないこと」それがもう果てしなく悲しくて切なくて苦しいことだと思ったから。

あの蔵(蔵ってことにしてくれ)でキャミソール一枚で寝転がる夏芽を、あの激情のように転換されていく映像たちを見ながら、感情の渦に火の渦に飲み込まれそうになりながら、全て夢であってほしいと心底思ったし、思わずには居られなかった。でもそうじゃないことも分かっていた。だって夏芽がカーディガンを着ていなかったから。

実に色々とぐだぐだ考えたんだけど、私はこの映画をバッドエンドともハッピーエンドとも断じることは出来ないなと思った。

だって夏芽もコウちゃんも、これからも生きていく。彼らはそれを選んだんだ、と思うと、人様の人生に第三者が勝手に結末をつけるべきでないと思った。

2時間からあふれ出そうな濃密さと、2時間ずっと漂う焦燥感と、ふたりが一緒にいる瞬間のきらめきとまばゆさと、それから解き放たれたラストシーンと、もうすべてが最高でした。

この映画を見て、幸福な気持ちも悲しい気持ちも切ない気持も苦しい気持ちももどかしい気持ちも全部味わった、と思う。そして全てが私の目にはまばゆく美しく見えた。本当にね、本当にとっても美しかった。

書いてる合間にパンフレット読んでたら、なんかそういうことしか言えなくなった。

最後にこれだけは言いたいんですけど、スダマサキッスのプラチナブロンド、最高です。ありがとうございました。